中国による凄まじいウイグル弾圧について

 トルキスタンとはペルシア語で「トルコの土地」という意味で、旧ソ連から独立した中央アジア諸国と現在の中国の新疆ウイグル自治区を示す。

その東半分にあたる新彊が東トルキスタンである。

 「新彊(しんきょう)」とは清政府がつけた名称を中共が踏襲(とうしゅう)したものだ。

 この地域は、もともとウイグル人をはじめイスラム教を信仰するトルコ系民族が多く居住しており、1933年と44年には民族による政権が作られた。

 45年のヤルタ会談でソ連は対日参戦する際に中華民国と友好条約を結んだが、そのとき東トルキスタンと内モンゴルの権益を中国に譲った。

 その後、国民党が敗北し49年に中華人民共和国が成立すると、東トルキスタン共和国はそこに組み込まれた。

それ以来、根強い独立運動が続き今に至っている。

 「東トルキスタン・イスラム運動」(ETIM)リーダーであるアブドゥカディル・ヤプチャンはこう語る。

 「中共は私の生まれた58年までに、東トルキスタンの全ての地主や資産家から財産や土地を没収し、さらに彼らを逮捕して強制労働に従事させ、最後には殺しました。

 中共は没収したもののうち価値あるものは本土へと持ち帰り、安い衣服や農具などを農民に支給して『農民は開放され、人民は平等になった』と宣伝していたのです。」と。
 雑誌「SAPIO 2006/1/25  押田明子 」引用

 

 新疆ウイグル自治区では、伊寧で97年に暴動が起こった際、鎮圧のために軍が機関銃を乱射して約400人が死んだといわれる。

 同自治区ではこうした弾圧で、半世紀の間に50~60万人の死者が出ているともいう。

 それでなくとも農村では、花嫁をカネで売買するとか、女の子が生まれると間引きされるなどの行為が、まだ普通に行われているという。
 雑誌「週刊新潮2006/11/7」引用。

 

 新疆では、ウィグル族の牧畜民が所有していた牧草地を、農耕や最近まで地上で行われていた核実験に使う ことに対する、抗議行動が続いている。
 参考文献 「世界の地理(20) 田辺裕 」。

 

 新疆ウイグル自治区では、大脳未発達の赤ちゃんが数多く生まれ、奇病が流行り、癌の発生率は中国の他の地域に比べ極めて高い。

 それは核実験の後遺症である可能性が高いが、中国政府の圧力のためにその事実は公にされず、支援を受けられない患者たちは貧困のため薬を買えず、治療を受ける機会さえなく、なす術もなく死を迎えている。

 このような内容のドキュメンタリー「シルクロードの死神」が、98年7,8月イギリスのテレビ局チャンネル4で放送された。

 同番組はその後、仏・独等の欧州諸国をはじめ、計83ヵ国で放送され、各国に衝撃を与えて、翌年優秀な報道映像作品に贈られる世界的に有名なローリー・ベック賞を獲得した。
 参考文献「諸君!2007/2月号  水谷尚子 」。

 

 中国政府は今年5月、ウイグル人全員のパスポートを回収、国家の管理下に置いた。

 ウイグル人は多額の保証金を払って政府の許可を得ない限り、自由に国外に出ることもできない。

 北京五輪のちょうど1年前にあたる8月からは、100日間にわたってウイグル人への取り締まりの強化期間が設けられた。

 独立運動にかかわったとされる5人のウイグル人に死刑判決が下っている。

 中国政府が長期的に目指しているのは、ウイグル民族を地球上から消し去ることではないかと思う。

 例えば言語。2003年以降、ウイグル語を教える教師が学校から追放されてしまった。

 今は漢語による教育が中心となり、ウイグルの文化は危機に瀕している。

 信教の自由も、当局は表向きは認めるそぶりをしているが、実態は違う…

 信仰は当局の管轄下にある「イスラム協会」という組織によって管理されている。

 まず、18歳未満の子どもは、モスクに立ち入ることもできない。

 子どもたちに道徳教育をし、人生の指針を与えるのもモスクの重要な役割なのだが。

 中国人は代わりに共産主義を浸透させたいのだろうが、今のウイグルでは非行に走る子どもが増えている。

 また、イスラム教徒の義務である断食月になると、政府の人間がわざわざ食べ物を配って回り、受け取ったものを食べなかった人間は公職を追われる、ということまで行われている。

 理不尽な規制を逃れ、私的にイスラムの教えを説くと、それだけで「恐怖分子(テロリスト)」として逮捕される。

 ウイグルの歴史を研究しただけで逮捕された学者もいた。

 イスラム教に関係あるものは、全てテロリスト扱いされてしまうのである。

 刑務所の待遇も劣悪。政治犯として捕らえられた人々の多くが、拷問で命を落としてい
る。

 看守が酒に酔って、殴る蹴るの暴行を行うことなどはざら。

 暴行で内臓が破裂した遺体を引き取った遺族も知っている。

 被疑者から供述を得るためには、長時間眠らさなかったり、食事を与えなかったりすることもある。

 もっとひどい例では、体を縮めないと入れないような小さい牢に何ヶ月間も入れられることや、冬の寒い時期に牢の中を首の高さまで水で満たした水牢に入れられることもある。

 他にも、両手を後ろ手に縛られて電気ショックを与えられたり、鼻から唐辛子の液を入れられたり、実にさまざまな拷問が日常的に行われているのである。

 当局が残虐な拷問を行うのは、政治犯として捕まえた人間を二度と表に出したくないからである。

 法律上は死刑になる理由がなくても拷問で殺し、「病死」で処理する。

刑務所に入れられた政治犯のうち、実に半数以上の人が「病死」扱いになっている。
 参考文献「 週刊朝日2007/12/14  ラビア・カーディル 」

 

 今年のノーベル平和賞の授賞候補者リストに、中国は人権を弾圧してきたウイグル族の人権活動家ラビア・カーディルさんが載り、中国政府当局が困惑している。

 9月12日には中国外務省の秦剛報道官が「ラビアは国外のウイグル独立勢力のテロリストとつながっている。

 事実を歪曲、悪意をもって反中華分裂活動に従事している」と非難。

中国報道も

 「近年、ノーベル平和賞は西側諸国の政治的道具に利用され、大衆の批判を浴びている」(16日付環球時報)といった”権威落とし”を行っている。

 ノルウェー国内の報道によると、張業遂外務次官は21日、北京を訪問していたノルウェー議会外交政策委員会代表団に

 「ラビアがノーベル平和賞を授賞すれば中国とノルウェーの外交関係にダメージが与えられる」

と牽制していた。

 ノルウェー政府はこうした対応に

「全く受け入れられない。選考委は完全に政府から独立している」

として一蹴したという。

「産経新聞2006/10/3」引用。

 

 中国政府は06年から「扶貧政策」と称して、15~25歳までの未婚の女性を強制的に連行して、中国本土の工場で働かせる政策をとっている。

08年までには40万人が連れ出された。

 すなわち、40万人のウイグル人青年がウイグル人女性と結婚できなくなったわけである。

 中国は一人っ子政策の影響で、男女の出産比率が120:100で、嫁不足は深刻になっている。

 実態はそんなものではなく、男児の数が圧倒している。

 強制的に連れ出された女性たちは、東トルキスタンに戻ることなく、地元の漢族と結婚することになる。

 共産党政府は「扶貧政策」という国家的誘拐によって、ウイグル人の血を絶つと同時に、漢族男性の嫁不足も解消しているのである。

 ただ、このことが海外に知られるようになり、国際的な非難を恐れた中国共産党は、09年からウイグル人青年も強制的に連れ出すことを始めた。

 ただし、男女を同じ割合で1つの職場に送り込むわけではない。

 それでも国際的な批判から逃れられないと思ったのだろう。

 ウイグル自治区政府は今年からウイグル人の若者を東トルキスタンから外に連れ出さないという政策を出したそうだ。

 工場長がウイグル人女性たちを、昼間は工場で働かせて、夜に売春をさせた事件もあった。

 きれいな女性に売春を強要して、売り上げを工場長が自分の財布の中に入れたのである。

イスラム教に対する弾圧は、生活の細部にまで及ぶ。

例えば、髭を生やしたら職場から追い出される。

数回注意されてそれでも剃らなかったらクビ。

 新彊ウイグル自治区政府の規則で、公務員は髭を生やしたらいけないことになっている。

 18歳未満の子供はモスクに入って礼拝することは禁じられ、18歳以上でも学生や公務員はモスクへ行くことはできない。

 

 就職差別は露骨である。前述した通り、地下資源の豊富な東トルキスタンにはいろいろな職場があるのだが、大学、専門学校、専門的な高校を卒業した者の95%は失業者になってしまう。

 自治区政府はわざわざ中国の本土の大学に行って募集するのだ。

 地元に人材があるにもかかわらず、漢族を連れてくるのである。

 東トルキスタンのウイグル人迫害は、登小平の改革開放経済が始まった1978年ごろである。

 共産党は沿岸地域に予算を徹底的に投入し、外国資本を呼び込んだが、反対に内陸の東トルキスタンは開発から取り残されたままだった。

 ところが、改革開放経済が進むにつれて、中国全土で強盗殺人や人身売買といった凶悪な事件が多発するようになった。

 そこで共産党政府は東トルキスタンのタリム盆地に巨大な監獄を建設し、こうした凶悪犯を集中的に送り込み、彼らを無給の労働力として「辺境開発」に使用し始めたのである。

 こうして受刑者たちが下地を作った後に、共産党政府の政策で漢族がどんどん移住してくるようになった。

 その尖兵が人民解放軍に所属する生産建設兵団という連中である。

 彼らはウイグル人が昔から農業に使用していた水源を奪い、「開拓」を進めていった。

 生産建設兵団は東トルキスタンに駐屯している部隊だけでも254万人という規模なのである。

 彼らは強大な武力を背景に、先住民であるウイグル人など歯牙にもかけず、共産党政府の命令に従って強引な「開拓」を進めるのである。
参考文献「イリハム・マハムティ 正論2010/4月号」

 

 7月末に中国新疆ウイグル自治区西部で発生した暴動について、米政府系放送「ラジオ自由アジア(RFA)」は5日、「ウイグル族の死者だけで少なくとも2千人」とする在外組織「世界ウイグル会議(WUC)」のラビア・カーディル議長の発表を伝えた。

 報道が事実なら、事件は当局の発表をはるかに上回る深刻な状況だったことになる。

 暴動について、中国の治安当局は「テロ事件」として非難を強める一方、死者数は一般市民37人を含む96人と発表していた。

 ラビア氏は「少なくとも2千人以上のウイグル人が中国の治安部隊に殺害された証拠を得ている」と語った。

 発生から3日間程度をかけて中国当局が遺体を片付けた、とも述べた。
「産経新聞2014/8/7」

…もちろん、朝日新聞は報じていない。報じられないのだ。

中国の怒りが恐くて。

 1月末に来日した世界ウイグル会議代表のラビア・カーディル氏は、中国政府のウイグル人弾圧は、習近平氏が国家主席となってから、とりわけ激化したと訴える。

 カーディル氏が語った。

 「昨年1年だけで、世界ウイグル会議が把握した中国によるウイグル人虐殺事件は、少なくとも37件発生しています。

 最もひどかったのが、7月のヤルカンドの虐殺です」

 ヤルカンド虐殺事件は、去年7月28日に発生した。

 同事件に関して中国当局とウイグル人側の主張は真っ向からぶつかる。

 中国当局はこれを「ウイグル人テロリストが警察署を襲撃したのが発端」で、「国内外のテロ組織が結託した悪質な事件」だと発表、犠牲者は96人と公表した。

 しかし、現場は直ちに封鎖され、外国メディアは立ち入りも取材もできなかった。

 AP通信が、「独立メディアの報道がない状況下では、政府は容易に適を悪魔化できる」と報じたように、真相は不明である。

 他方、カーディル氏はこう語る。

「あのとき、イスラム教徒はラマダンを迎えようとしていました。

 中国当局はラマダンの断食を禁止し、ウイグル人はやむなくそれに従いました。

 しかし、ラマダン終了前には聖なる夜があって、男性たちはモスクに、女性たちは家に集まり、祈りを捧げます。

中国当局はそこを狙ったのです。

 2軒の家に女性たちは各々十数名ずつ集まって祈りを捧げていました。

 そこに中国当局の武装勢力が踏み込んで、女性たちを殺害した。

 モスクから戻った夫たちは驚き、警察署に行った。これがヤルカンド事件の始まりです」

 カーディル氏は、警察署に行ったウイグル人を、警察当局が「派出所を襲撃にきたウイグル過激派」と見做して、ほぼ全員を殺害したあと、武装警官を派遣し、ヤルカンドの村を包囲し、住民の大半が殺害され、犠牲者は2千人に上ると主張する。

 ラジオ・フリー・アジア(RFA)は、「6歳の子どもまで全員殺された。

死者は3千人以上」という現場の住民の声を伝えた。

 静岡大学人文社会科学部教授の揚海英氏は、中国によるモンゴル人虐殺の実態を研究してきた。

 氏が明らかにしたモンゴル人虐殺の悲劇は、いまウイグル人及びチベット人に起きている悲劇とぴったり重なる。

 中国が21世紀のいまも行っている人道に対する罪を告発すべき国があるとすれば、それは日本人ではないか。

 日本人も日本政府も、ウイグル、モンゴル、チベット3民族の悲劇を終わらせるため、少なくとも沈黙は赦されない。
参考文献「櫻井よしこ 週刊新潮2015/2/19」

上記に関連して、次の記事を見てみよう。(別の事件)

産経新聞 2015年2月22日付

 中国新疆で衝突 17人死亡 
   ウイグル族と警官 一般人も巻き添え

 米政府系放送局ラジオ自由アジアは21日までに、中国新疆ウイグル自治区アクス地区バイ県で警官とウイグル族住民が衝突し、警官4人、通行人4人を含む17人が死亡したと報じた。

 同ラジオによると、地元警察が17日、警察署から約150メートル離れた民家を捜索した際、室内にいた十数人の集団が警官からライフルや短銃を強奪し、ナイフやおので襲いかかった、集団が警察署方向に逃げた丸腰の警官らを追いかけたところ、武装警官が応戦し、集団の9人を射殺。

通りかかった一般市民4人が誤射で巻き添えになったという。

 民家にいた男らの多くは昨年、中国当局が行った「分裂主義者」や「テロリスト」の集中取り締まりで逮捕されたり、実刑判決を受けたウイグル族の親族だった。

 同自治区内では同様の衝突が相次いでおり、全人代を来月に控え、ウイグル族に対する締め付けが強化されていることをうかがわせる。

朝日新聞 産経記事の翌日23日の記事

 ウイグル族・警察衝突十数人死亡

 米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)は、中国新疆ウイグル自治区アクス地区バイ県で17日、ウイグル族と警察が衝突し、双方で計十数人が死亡したと伝えた。

 RFAは13日にもウイグル族青年が自爆テロを起こしたと伝えており、自治区内で緊張が高まっている可能性がある。

 RFAによると、警察が、パトロール中に衝突した約10人のウイグル族を捜索。隠れているとみられる家を包囲したところ、ウイグル族が刃物で4人の警官を刺殺。

警察側は9人を射殺した。当局は、十数人のウイグル族を拘束したという。

ほかに4人の通行人が射殺されたとの情報もある。

どう読んでも、朝日新聞の方は「ウイグル族の方が悪い」としかとれない。

中国政府の弾圧の背景を報じていない。

 旧日本軍の「蛮行」には、大した証拠がなく伝聞だけでも嬉々として報じるのに、中国の現在進行形の大虐殺に関しては、極めて慎重。

普段から「人権」やら「平和」やらを盛んに叫んでいる朝日のこの態度。

 中国共産党の息が掛かった機関紙だからしょうがないが、それにしても朝日読者は気の毒である。真実を知らされないのだから。

中国について
中国共産党/自国民を殺してきた党・反日の拠点
ルール違反/だから世界で嫌われる
虚言癖/息を吐くように嘘をつく
尊大さ/だから世界で嫌われる
侵略行為/いまだに帝国主義の国家
少数民族弾圧/朝日が絶対に報じない酷い拷問と虐殺

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